グーグルの口コミが名誉毀損になるケースとその対処法

口コミ(レビュー)は素直な感想を書くものではありますが、当然、何を書いても許されるわけではありません。例えば、名誉毀損や侮辱となるような違法な投稿は利用規約に違反するものとして削除を求めることができます。

ネット社会の現代では、ネット上の悪評は集客や売上に大きな影響を及ぼしかねません。悪質な口コミに関しては、現実に悪影響が生じる前に、早急に対処したほうが良いでしょう。

この記事では、グーグル口コミが名誉毀損となるケースなどについてご紹介します。グーグルの口コミによる誹謗中傷(悪口・嫌がらせ)にお悩みの場合は、参考にしてみてください。

名誉毀損になる条件と可能性

名誉毀損とは、公然の場で具体的な事実をあげて第三者の評価を落とす可能性のある言動をとる行為です。

口コミの内容が以下の3つの要件の満たしている場合には、名誉毀損になる可能性が高いでしょう。

1⃣社会的評価を下げる可能性がある

2⃣具体的な事実を挙げている

3⃣公然の場である

誰でも閲覧できるネット上での投稿は、基本的には公然とされているものと評価されますので、口コミが名誉毀損となるかどうかの判断は、①と②を満たしているかがポイントになります。

〇内容が真実でも名誉棄損は成立する

具体的な事実とは、「食品偽装をしている」のような真偽を確認する対象となり得る内容のことです。例えば、「料理が美味しくない」のような口コミは個人の感想であって真偽を確認することはできませんので、具体的事実ではありません。

なお、このような事実に該当するかどうかは、事実が嘘であるか本当であるかは問われません。


〇社会的評価を下げる内容とは

社会的評価を下げるものかどうかに関しては常識で判断されます。例えば、犯罪や不貞行為など一般的に世間から後ろめたい評価を受ける事柄については、社会的評価を下げる内容と評価されやすいといえます。

ある店舗の特定個人の名誉を貶めるものであっても、全体的にその店の評判を貶めるものと評価できるようなものであれば、当該個人に対する名誉毀損となると同時に、当該店舗の運営法人に対する名誉毀損となる余地はあります。

 

公益性のある口コミは名誉毀損とならない可能性がある

記の成立要件をすべて満たしていても、名誉毀損が成立しないケースがあります。口コミの内容が、以下3点の要件をすべて満たしている場合です。

1⃣投稿内容が公的な利害に関わる事柄である(公共性)

2⃣投稿が公益目的で行われている (公益性)

3⃣投稿内容が真実である又は真実と信じるに足りる相当な理由がある(真実性)

簡単に言うと、会社やお店にとっては不都合な内容でも、それを公開することが社会のためになると認められる事項であれば、名誉毀損とはならない可能性があるということです。

例えば、「A社では多くの従業員に対して残業代が未払いとなっている」という会社の口コミは、求職活動をしている多数人にとって有益な情報といえるため、投稿内容は公共性を有すると言えそうです。

また、これが転職サイトなどに書き込まれていれば、当該求職者に対する警鐘として、公益目的もあると言えそうです。

そうすると、投稿内容が真実であるか、真実と信じるに足りる根拠に基づいて行われている場合には、名誉毀損としての違法性が否定される余地があるでしょう。

名誉毀損になりやすいグーグル口コミの例

■飲食店への口コミ

・料理にゴキブリが入っていたから食べるのをやめて店からすぐでた。
・注文時と精算時で提示される価格が異なる詐欺行為を働いている居酒屋です。


■旅館、ホテルへの口コミ
・ここの旅館は反社しか泊めていない
・亭主が元ヤクザで気に入らない事があると怒鳴ってくる

■不動産への口コミ
・何の説明もなく強引に契約をさせられた
・不動産の契約で騙され完全にお金を騙し取られ詐欺られた

■美容院への口コミ
・無理やり高級シャンプーを売りつけてくる悪徳美容院です。
・美容師が無断で体を触ってくるセクハラまがいの美容院です。

■病院への口コミ
・ この病院では必要な検査をせずにいい加減な診断をしています。
・この病院の代表医は医療ミスを繰り返しているが、金の力でもみ消している。

星一つだけでコメントのない口コミは違法行為ではない

コメントがなく星1つだけという口コミがされることもよくあります。このような低評価のみの口コミも、会社やお店の評価を下げる可能性はあります。

しかし、このような口コミは、名誉毀損の成立要件である『具体的な事実を挙げている』ものではない(個人の感覚的な感想に過ぎない)ため違法行為とはなりません。そのため、法的に当該口コミを削除したりという対応は難しいでしょう。

もっとも、Googleに嫌がらせ行為として申告することで運営側の判断で口コミが削除されることはあり得ます。また、削除されなくてもこのような口コミに対しては、高評価の口コミを増やすことで希釈化することも可能です。

そのため、それほど大きな問題とはならないことがほとんどでしょう。

Googleマップの口コミを削除する方法

グーグルの口コミ利用規約では、他者を誹謗中傷する悪質な口コミの投稿を禁じています。

名誉毀損となるような口コミであれば、グーグルへの削除依頼により口コミを消してもらえる可能性が相当高いと思われます。

また、名誉毀損とならないような投稿でも、Googleの定める『禁止および制限されているコンテンツ』に該当していれば、削除してもらえる可能性が高いでしょう。

グーグルへの口コミ削除依頼の具体的な手順については、以下の記事で解説をしています。実際に手続きに着手される際に参考にしていただければ幸いです。


口コミの削除にかかる期間の目安


グーグルへの削除依頼には、いつまでに対応するといった公式的な公表はありません。口コミが数日で削除されることもあれば、削除まで1週間以上かかることもあります。

そのため、削除依頼をした後は少なくても2週間ほど様子を見た方がよいかもしれません。

なお、グーグルからは口コミの削除依頼に対する報告はありません。削除依頼をしたら口コミが削除されているかどうか定期的に確認するようにしましょう。


削除できなかったときの対処法

グーグルが削除に応じてくれない口コミを削除するには、『裁判(仮処分)』で口コミによる権利侵害の被害を立証し、裁判所を通じて削除命令を出してもらう必要があります。

ただ、この場合、Googleの外国法人を相手に法的手続を履践することになりますし、裁判所に投稿内容が違法であることを理解してもらう必要があります。

そのためこのような対応を取るべきか否かは、弁護士に相談をして慎重に判断するべきでしょう。

Googleに口コミに関するコンテンツポリシー

1⃣トピックと関係ない内容
このビジネスでの経験とは関係ない口コミ

2⃣スパム
ボットまたは虚偽のアカウントからの口コミ
あるいは広告かプロモーションを含む口コミ

3⃣利害に関する問題
該当のビジネスまたは競合するビジネスと関係する
ユーザーが投稿した口コミ

4⃣冒とく
口汚い言葉、露骨な性的表現を含む口コミ
また暴力など違法行為を描写する口コミ

5⃣いじめ、いやがらせ
特定の人を個人的に攻撃する口コミ

6⃣人種差別、ヘイトスピーチ
身元を理由に個人またはグループを中傷する
表現を含む口コミ

7⃣個人情報
住所や電話番号など個人情報を含む口コミ


他にもいくつか禁止および制限されているコンテンツがございます。

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